仏教形式の葬儀の歴史

 今日葬式といえば僧侶が祭壇で読経をあげている風景や、線香の匂い、焼香するときの抹香の匂いなど、そういった光景が思い浮かぶと 思います。日本における葬式の最もスタンダードな形が仏教であるという認識になってきたのは、江戸時代に制定された制度に端を発しています。

 日本に仏教が伝来した当時から仏教形式の葬儀は存在しました。しかし今の時代のように広く普及していたというわけではなく、その当時は豪族や貴族などの 一部の上流社会の人たちの間で行われていただけでした。

 時代が下り一般庶民の間にも仏教形式の葬儀形態が広まるようになってきましたが、今日の日本のように爆発的に広がるようになったのは、江戸時代の前期に 制定された檀家制度によるものでした。

 檀家制度によってほぼ強制的に菩提寺に帰属することになり、それによって葬儀もまた寺院や僧侶が関わってくるようになってきました。

 また遺体の処理方法も土葬が主流でしたが、仏教形式の葬儀形態が主流になるにつれ、これまで少数だった火葬も徐々に数が増えてくるようになってきました。